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人生の岐路に役立つヒトに関する分析【第33回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2020年4月27日

前回まで、お金、ヘルスケアについて、筆者が蓄積してきたデータに基づく分析結果と、その方法などについて説明してきた。今回はデータ分析の5大アセットの1つである「ヒト」について詳しく見てみよう。

 人を中心とした「ヒト・モノ・カネ・ブランド」との関係において、日常生活で重要になるのが相性の良さである(図1)。本連載でもこれまでに、第10回で形態素解析を駆使し人の退職者傾向を解説し、第21回で人のミスや不正の規則性に触れた。第22回では面接での秘書問題をネイピア数で説明した。

図1:人と5大アセットとの相性

 今回は、上記以外のヒトに関する分析を紹介する。人が生きていくうえで多くの人が知りたい「どの人と相性が良いのか」「どんな仕事が適職なのか」「どの学校に進むべきか」を分析する。

人と人との相性を分析する

 人について分析する際の基本は、人の属性、他の人との関係性、人の評価などだ。人の属性には構造化データと非構造化データがある。出身大学、出身地、資格、ビジネス経歴などが構造化データだ。人事部門が管理する構造化データも、同じ大学を出た、あるいは同じ出身地ということを契機に他の人との関係性が生まれ、人を分類する。

 これに対し、入社時に書いたコメントや営業日報などが非構造化データである。営業日報などからは、会社でパフォーマンスの良い社員や影響力のある人の傾向が分析できる。採用面接において候補者が記入した診断テストの結果が因子分析で効果が出てくる(第5回参照)。

 第10回で、人の行動や感情を表すデータの分析例として、筆者が実施した人材に関するコンサルティングにおけるデータ分析内容と結果を挙げたが、これは社員の退職者傾向の分析だった。

 男女の相性も、データ分析により最適な組み合わせが比較的容易にわかる。少子化の中で、データ分析により婚姻率や出生率の増加につなげられる。男女の相性分析では、科学的に男女のHLA(ヒト白血球型抗原)の組み合わせを考慮することも大切なのだが、今までの男女の組み合わせデータからクラスター分析やアソシエーション分析が可能となる。

 アソシエーション分析はもともと、マーケティングで利用される代表的なデータ分析手法である。顧客が商品を購入する際の購入パターンや履歴を分析することで、商品Aと商品Bの売れ行きの関連性を抽出する。これを応用することで人と人との関係性を分析できる。

 人どうしの相性を見ると、血液型や生年月日、星座など占いで使われているデータだけでなく、兄弟姉妹といった生まれ順が相性に大きな影響を与えることが分析からわかる(図2)。

図2:人の相性を生まれ順で分析した結果

 生まれた順は、男女の区別なく、第一子(長子)・真ん中(中間子)・末っ子・一人っ子の4パターンからなる。たとえば、長女・長男・次女の順で生まれたとすると、長女が長子、長男が中間子、次女が末っ子だ。血液型や出身地は聞き難いこともあるが、兄弟姉妹の数や順番は比較的聞きやすくデータ化しやすい。

 私が関与したデータをクラスター分析した結果は「男性の末っ子は、女性の一人っ子と相性がいい。男性の長子は女性の末っ子と、男性の中間子は女性の長子と、男性の一人っ子は女性の中間子との組み合わせがいい」である。実際、プライベートな身近な範囲でも、仕事の関係者でも検証してみたが、図2のパターンの確度は高い。

 ここまでは組み合わせの結果として、心理テストなどですでに同様の結果が示されている。そこで、独自の視点を2つ加えてみよう。1つは、兄弟姉妹がいる際に、どちらの性別がいるかどうか。たとえば、女性の長子の場合、弟のいる長女、妹のいる長女、弟と妹の両方がいる長女とパターンが複雑になる。このパターンで男性の中間子との相性が良い確率が変わってくる。

 もう1つは、近年の少子化の状況を加味することだ。少子化で兄弟姉妹は2人程度が主流であり、男女ともに中間子が少なくなっている。そのため女性では長子に対する、男性では一人っ子に対する相性の良い相手が絶対数で減っている。結果、弟がいる姉、一人っ子の男性は周りでも独身が多い。ただ弟のいる姉も一人っ子の男性も発想を変えればいい。一人っ子の男性は、長子の女性を候補者にするのも良策だ。

 なお男女としての相性ではなく、友達としては、兄弟姉妹の順が同じ方が、相性が良くなる確率も高かった。たとえば、一人っ子どうしは気が合うということも多い。同じように、友達のような関係ならば、兄弟姉妹の順が同じでも長続きするカップルも少なくない。

 上記は、あくまでも入手できたデータから言えることだ。読者が現在結婚している相手が、図2のパターンに合っていなくても大丈夫である。単に確率の問題だ。仮に自分の組み合わせが図2のパターンでないため人間関係で相性が悪いと思うなら、その分、相手に気を使えばいい。また、結婚がうまくいくかどうかは、単純に男女の相性だけでは決まらない。