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  • Society 5.0への道

なぜ今、Society 5.0を目指すのか、社会とテクノロジーの双方が求める“未来”

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2019年1月22日

ネットが浸透し新たな“社会OS”が誕生

 そして今、これらビッグデータ、IoT、AI、クラウドを組み合わせた基盤(プラットフォーム)の上に、新たなサービスが構築され始めています。タクシーの配車サービスや民泊に代表される「シェアリングエコノミー」や、ブロックチェーン技術を使った仮想通貨や「スマートコントラクト」といった新たな信頼関係の実現などです。

 インターネットの誕生から30年強が立った今、そこには「社会OS(基本ソフトウェア)」とも呼ぶべき基盤が誕生したのです(図5)。これからの社会は、この社会OS上に構築されようとしています。そうした社会こそがSociety 5.0へとつながっていくのです。

図5:インターネット以後、デジタルテクノロジーの進化は“社会OS”とも呼ぶべき新たな基盤を生みだした

すべてが個人中心にSociety 5.0は一人ひとりの課題

 ビッグデータ、IoT、AI、クラウドからなる社会OS上に構築されるのがSociety 5.0だとすれば、Society 5.0の駆動源あるいは“燃料”になるのはデータです。多種多様なセンサーで集めたデータをビッグデータとして蓄積。それをAIで分析することで、これから起こるであろうことを予測したり、あるいはシミュレーションによって最適解を導き出したりします。その結果に基づき、私たちが日々の暮らしで利用する新たなサービスが提供されるのです。

 このことは、すべての起点は私たち一人ひとりにあるということです(図6)。行動や思考、あるいは、それらに伴う機器の動きがデータとして蓄積され、その分析結果が、私たちの行動や思考に影響を与える社会サービスとして提供されます。

図6:すべては“人”を中心に動く

 言い換えれば、Society 5.0は、個人を中心に据えたうえで、これからの社会を再定義する取り組みであり、どうあるべきかを決めるのは、も私たち一人ひとりだということです。暮らしや社会を支えるサービスだからといって、国や自治体が整備し提供してくれるわけではないのです。

 一方でSociety 5.0の新しいサービスの提供主体の多くは企業でしょう。であれば、そのサービスはビジネスとして成立しなければ継続的な提供は叶いません。だからといって自社の思惑だけで開発し一方的に儲けるようなサービスは社会が受け入れません。

 これからの企業は、Society 5.0に向けたサービスの開発・提供主体として、個人や社会の期待に応えるという責務も負うことになります。当然、プライバシーやセキュリティといった事項にも、これまで以上に対処する必要があります。

 繰り返しますが、Society 5.0は私たち一人ひとりに与えられた“未来”に向けたテーマなのです。