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- データ分析/生成AI活用を成功に導くためのデータ連携入門
データ連携の本質は「必要な人に、必要なデータを、正しい状態で届ける」こと【第10回】

本連載では「データ連携」について毎回、話題を変えながら説明してきました。しかし、その根底にある問いは一貫していました。「当社または私の場合は、どこから手をつければいいのか」です。今回は、この問いに共通する3つのテーマについて振り返り、データ連携の本質を考えます。
データ連携について、連載の第1回では「あるシステムからデータを取り出し、必要に応じて変換し、別のシステムに渡す」という一連のプロセスとして説明しました。そのプロセスは(1)業務プロセス、(2)アプリケーションロジック、(3)データフォーマット、(4)データ同期方式という4つの観点に整理できました。
データ連携の根底には共通する3つのテーマがある
これら4の観点は、データ連携の土台だと考えられます。各回の話題とした生成AI(人工知能)技術を使ったチャットボット(第2回)や、いつもと違う切り口の分析(第3回)、スナップショットと履歴の使い分け(第4回)、SaaS(Software as a Service)導入時の混乱回避(第5回)、マスターデータの揺れ(第6回)、間に落ちる業務の自動化(第7回)のいずれにおいても、その根底にあるのは「どこにあるデータを、どのような形で、どのタイミングで、どこへ渡すか」という同じ問いです。
そこには、繰り返し立ち現れた3つのテーマがあります(図1)。
テーマ1:「どこに、どんな状態であるか」の把握が全ての起点
生成AI技術の利用でも、新しい切り口の分析でも、最初に必要なのは「答えの元になるデータが今、どこに、どういう状態で存在しているのか」の把握です。派手なツールやAIモデルの選定は、その後の話です。データがPDFの画像だったり、Excelに閉じていたり、そもそも取り出せなかったりすれば、どんなに優れたツールも力を発揮できません。現状把握こそが、必要なデータを必要な場所へ届けるデータ連携の出発点です。
テーマ2:「どれが正か」を決めることが混乱を防ぐ
SaaSが乱立して整合が取れなくなる「SaaSスプロール」や、同じ情報なのに複数の正が生まれるマスターデータの揺れに共通する処方箋は「どこが中心で、どこが支えるのか」「どの情報がマスターとして正なのか」を決めることです。技術だけで解決しようとするのではなく、まず役割と責任を整理する。この“構造の設計”が、システムをいくつ増やしても崩れない土台になります。「正」が決まらないままのデータ連携は混乱を広げる仕組みにもなります。
テーマ3:「人が担う部分」と「仕組みが回る部分」を分ける
間に落ちる業務の自動化では、判断を「ルール化できる論理」と「文脈と責任を伴う意思決定」に分け、前者は仕組みに、後者は人に委ねることの重要性を指摘しました。基幹システムとAIシステムの接続でも、アクセスできる範囲は人が固定し、検索条件などの揺らぎのある部分をAIシステムに任せるという分担が現れます。柔軟性と統制の両立は、この切り分けから生まれます。人と仕組みの境界を決めることは、データ連携の責任範囲を決めることでもあります。
